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[ 北の道ストーリー ]

映像に見る北の道

【奥山 直樹氏】

     

関連情報

素敵な北の道

シーニックバイウェイ
北海道

北海道ロケーション
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映像の中の北海道

■はじめに。

自身の北米視察を元に、北の交差点VOL.8(2000年)へ、「道」の映像利用とその可能性について提言(※1)してから7年。この間、映像を誘致支援する「フィルム・コミッション(FC)」が国内にも出来、私自身も多くの映像の誘致と支援に携わりました。少し道案内をさせて頂きます。

 

通行人を完全に遮断

撮影中のために公的機関が通行人を完全に遮断する。

 

 

 

 

 

■「道」と道映画(Road movie)。

「道」。縄文の頃には「道」が無くても移動はあった。印されていた「道」は獣道。“僕の前に道は無い。僕の後には道が出来る。”と、人類の遠い道程と自慿の境(※)を謳った高村光太郎。北の地に鉄路に導かれ入植した屯田兵の生きる「道」は開拓そのものだった。克服すべき芳醇な森に抱かれ、闇夜に一筋の希望の光を見出し、未来を夢想していたのだろうか。時は流れ、「豊かさゆえの内面の枯渇、関係性の途絶」を現代作家がテーマに描く。時代や地域性のもたらす光陰と方向性は異なれども、「道」のある無しが人間にもたらす変化はいつもドラマの主要なテーマ。世界観や演出のトーンは違ってはいても。

 

登場人物が「道」を旅し、そこの風景や事象にふれているうちに、心の変化、成長が起こり、そこにドラマが起こる、映画の1ジャンル『ロードムービー』。

大ヒットした‘89『レインマン』、伝説の‘68『イージーライダー』、フェリーニ監督のその名も‘54『道』。ロードムービーの大家ベンダース監督‘84『パリ・テキサス』。山田洋次監督による北海道が舞台のジャパニーズ・ロード・ムービー‘77『幸せの黄色いハンカチ』、北野武監督の’99『菊次郎の夏』。

名作揃いの道映画。枚挙に暇がなく、脚本の構成力や監督の演出力には感動させられます。『旅行がもたらす精神の彷徨による主人公の心の変化と成長』という脚本スタイルにロードムービーの醍醐味があります。

 

この「精神の彷徨の旅」の中では「道(みち)」が重要な役割を果たしています。 いわば「道」は登場人物を単に運ぶだけではなく、過去から未来(時には未来から過去)に時間という道行を司る象徴なのです。

登場人物が道上の旅の中で、様々な事象に遭遇することで喜怒哀楽し、心の変化と成長が起こります。劇中の人物の経験は我々人類の遠い道程と自慿の境とは本質的に無縁ではない。そのことが、人に共感や深い感動をもたらす源となり、こうして道映画の中の「道」は、形而上の深い存在(※)となります。

 

 

※高村光太郎 道程(原型)。大正3年2月9日 「美の廃墟」3月号に発表.(PDF:12KB

※「自慿の境」=(注:自分をたのみにする境地)

※「形而上の深い存在」=(注:根源的原動力。)

 

 

道なき道

「道なき道」
 (石狩市花川北の防風林で撮影。秋は黄金色の季節。)

 

石狩市厚田区の開拓道路。旧国道

石狩市厚田区の開拓道路。旧国道

 

ロスのハイウェイ

ロスのハイウェイ

 

バスの旅

バスの旅

 

道北のサロベツ原野と道

道北のサロベツ原野と道

映画『天国の本屋~恋火』(※2)の中で、天国の道として撮影。映像に大きな意味を与えたシーニックな道路です。映画をご覧になられ、実際にドライヴをして頂ければ幸いです。

※2 映画『天国の本屋~恋火』(2004年松竹。篠原哲雄監督)

 

【関連情報】

※2 映画『天国の本屋~恋火』 - ウィキペディア(Wikipedia)

ロードムービー - ウィキペディア(Wikipedia)

サロベツ原野 - ウィキペディア(Wikipedia)

高村光太郎 道程(原型)( PDF : 12KB )

 

 

■「北の道」の可能性を体感。

オレゴン州ポートランド郊外のユージンという町は石狩市の風景とそっくりで、ここであの有名なロードムービー『Stand By Me(スタンドバイミー)』が撮影されました。

 

また、米国アカデミー賞受賞映画で、主人公の心情や状況設定を表現するために雪道の道路を効果的に使用している『ファーゴ』の舞台であるミネソタ州ミネアポリスもかねてより私が訪れたかった場所でした。同州の観光部長の案内によりミネアポリス郊外を訪れ、札幌市の郊外の石狩市と共通しているその風景に、北の道はやはり世界の道にまっすぐ繋がっていると感無量でした。

 

ベンダース監督のロードムービー『パリ、テキサス』ならぬ『夕張、東鷹栖』が監督の手によって北の道を舞台に撮影され、カンヌに招かれる日が来るかも知れません。

 

モハベ砂漠の真ん中で今も映画『バクダッドカフェ』に使用された喫茶店は今もなお営業を続けているとのことです。「コーリング・ユー」という大ヒットしたこの映画の主題歌もおなじみです。時間の割愛でルート66は行けませんでしたが、私はいつか、趣味のバイクで今の『バクダッドカフェ』の姿を見に行こうと思っています。

 

 

 

ユージン

ユージン(『Stand By Me』のロケ地付近で撮影。石狩市国道231号生振付近に酷似。)

 

ミネアポリス

ミネアポリス郊外(「ファーゴ」ロケ地の自動車屋。石狩手稲線樽川付近に酷似)

 

バイクで、、、

バイクで、、、

 

マルホランドシーニックパークウェイ マルホランドシーニックパークウェイ
ロスのマルホランドシーニックパークウェイ。ハリウッドの俳優が多く住んでいる眺望の良い場所。

 

【関連情報】

ルート66 - ウィキペディア(Wikipedia)

 

 

美式天然ポスター

美式天然ポスター

 

アリアポスター

アリアポスター

 

■世界へ。ロードムービーと「北の道」

北海道を主舞台として撮影された映画『美式天然(うつくしきてんねん)』。(外国語タイトルは、Nuaged’hier(昨日の雲))。この映画により2005年11月19日夜、イタリア第23回トリノ国際映画祭(※3)でベストフィルム賞(グランプリ)と観客賞をW受賞した北海道道南の町、長万部町出身の映画監督がいます。坪川拓史監督です。トリノの審査委員長は、「我々はこの作品を見つけるために、過去23回映画祭を行い続けてきた。」と最大級の賛辞を送ったそうです。

坪川監督は更に2006年夏、長編第2作目となる映画『アリア』を北海道十勝方面で撮影しました。2007年1月に完成し、4月の韓国のチョンジュ国際映画祭、5月のサンフランシスコ国際映画祭に招待上映されました。8月には、エジンバラ国際映画祭、9月のハンブルグ、10月はパリのキノタヨ映画祭及びフランス国内の映画館で上映も予定されています。

世界各国から注目されている監督は「世界に向けて何かを発信するのなら、北海道から発信したいと考えるようになりました。」と語っています。

 第2弾の『アリア』の海外評は“ビューティフル・ロードムービー”です。

 

(※3)トリノ国際映画祭は、イタリアではベネチア国際映画祭に次ぐ重要な映画祭として開催期間に300本近い作品、のべ9万人の観客を動員する大きな映画祭。この受賞後、フィレンツェ、サンフランシスコ、エルサレム、全州国際映画祭、ローマ、トリノ、ケルン、パリ、アムステルダム、ロッテルダム、ハーグ、海外からの招待が続いている。(慶応大学DMC機構

 

 

 

■映画監督の「北の道」印象

坪川監督

東京在住の坪川監督に北の道についてインタビュー。

 

~北海道の道についての印象は?~

「僕にとっての北海道の道というと、やっぱりまっすぐな長い道かな。 18年間住んでいた道南の海岸沿いの長いまっすぐな道、、、、道そのものが、体自体にしみこんでいるんだよね。いってみれば地図のとおりで(広大で)解り易いというのかな。」

 

~映画の中で北の道はどんな風に使われているのでしょうか?~

「今回の作品は、様々な道をワンカット、ワンカット、作品全体のところどころに入れているんです。例えば悲しいとか、楽しいとか、、道そのものが、様々な感情を与えているように感じるはずです。」

 

~それぞれの道は、大きな効果として使用されているのですね。~

「そうです。」

 

インタビューを通して私は、開拓の歴史的背景が北の道の生成過程において様々な影響を与えており、道自体が物語を内包しており、映像に利用されることで、我々に語りかけて来るのだと思った。

『アリア』ロケ 十勝ロード

『アリア』ロケ 十勝ロード

 

 

■「それぞれ」のロード!

私自身も少年時代を北海道の北のまちで過ごした。

夏と冬とで寒暖の差が70度もある盆地の、短い夏の、アスファルトのにおい。

あの五木寛之氏が若いころ移住する予定で購入した土地のほど近くある、お気に入りの丘までの道へ自転車を転がし、寝そべって大地や道と触れあい、遠い空に浮かぶ雲を眺め、丘の1本の木から町まで続く道を照らす薄暮の夕刻が訪れるころになると、少し遅くなってしまったと感じながらマジックアワーといわれる美しい瞬間が辺りをつつむ中、家までの道をひたすらひたすら自転車をこいだ。

あの有名な美瑛の丘に勝るとも劣らない秘密の場所。 銀河のかけらが宇宙(そら)から降るカシオペア流星群を見に、天の川が照らす道を歩いた、、、。

様々な物語が「北の道」にはあります。

探して下さい。ぜひ、探しにきて下さい。あなた自身の物語を。

監督達が光を当て続けている北の道映画、ロードムービーをガイドに。

 

広大な自然と大地、様々な道、世界的な映像好適地である北海道では、今もなお、多くの映画が生まれ続けています。

 

【関連情報】

どこでもふるさと士別 - 羊と雲の丘 -

五木 寛之 - ウィキペディア(Wikipedia)

 

 

※(この文章は筆者ならではの情報を元に今後の可能性を分析した「私見」であり、ロードムービーについての公式見解は、数多ある文献やWEBサイトなどをご参照願います。)

 

【奥山 直樹氏のプロフィール】

 

石狩市土木課の現場監督として石狩市内の「道」づくりに従事。

2000年、都市計画課職員として先進地である北米各地のフィルム・コミッションを視察。以後、東京のFC設立研究会にもオブザーバー参加。石狩フィルム・オフィス職員として、映画、TVドラマ等の誘致支援に携わる。

2006年より石狩市下水道建設課現場監督。

石狩シネマサポーターズ事務局長としては現在、21作品目の映画脚本を執筆中。

 

(2007.08.31)

 

 


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